ねこまたのおばばと物の怪たち<旧題 ネコマタのおばばと異次元の森>



古い作品である。

対象は、小学校中学年。もともと、主人公の舞子も小学四年生だった。小学五年生に変更になったのは、角川の意向。
特に支障はないと思った。「上院小の五年生」といえば『地獄堂〜』のてつしたちだが、もともと時間軸は違うと設定していたし……と思ってたら、読者から質問メールが来た。「なぜ、上院小の五年生なのに、てつしたちが登場しないのか?」と(笑)。
「時間軸が違うからだよ」と答えたが、こういう質問をしてくる子ども(間違いなく小学生だろうな)に、「時間軸」が理解できるかな?(^^;)

同じ中学年対象だが、『物の怪』の方は、漢字も増えたし『異次元の森』よりも、やや読みやすい。イラストも増えている。みもりさんのイラスト、可愛いな。



『異次元の森』は、徳間書店の文庫の部長さんが「号泣した」と絶賛してくれて、ぜひ徳間にと請われたが、生憎その時には、角川のお手つきだった。徳間さん……いつも、一歩遅いのよね(^^;)

角川が『異次元の森』の文庫化を望み、ポプラ社に交渉した時点では、この作品のポプラ社での契約が切れておらず、文庫化は、契約の期限が切れるまで半年待った(私は、次の契約更新はしなかった)。



『異次元の森』は、いじめに遭っていた子どもたちから「はげまされた」と、よく感想をもらった。
私は、傷つきやすい年頃にいじめに遭ったことはないが(すっかり大人になってからいじめを体験して、勉強させていただいた。この作品の中に出てくる女いじめっ子も、その時の大人いじめっ子がモデル(≧з≦)ぷぷぷー!)、この作品が、いじめに悩んでいる子どもたちの慰めになるのなら、光栄である。



私の作品は、問題を抱えている子どもが、避難できる場所を見つけて立ち直る……というパターンが多いが、そしてそれを「またか」と批判するむきもあるが、支持されてるんだから仕方ないじゃない(笑)。

支持されているということは、今の時代、いかに「子どもに避難できる場所がないか」ということの証明なんだろうな。 『ねこまたのおばば』などは、「昔は家で一緒に暮らしていた年寄り」の象徴だろう(『地獄堂』しかり)。親に叱られても、じぃちゃんばぁちゃんは味方になってくれた。 『下町〜』や『妖アパ』『大江戸』は、近所のおじさんおばさんだ。 昔は、親や教師以外の大人が、子どもたちの周りにいたもんだ。



子どもたちの周りには、子どもたちがいつでも逃げていける場所や、人がいてもらいたいと思う。
そして、そこでは、子どもたちが「前向きに」なれなければならない。

簡単に、掃いて捨てるほど見つけられる「後ろ向きに」なれる場所にハマってしまわないことを祈る。


あと、変な宗教にひっかかりませんように。



      




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