完全版地獄堂霊界通信@



ちょっと忘れていたけど、『地獄堂』の新たなる解説を上げる時が来た!!



感慨深い……。



思えば、『地獄堂と三人悪と幽霊と』は、私のデビュー作。
シャレで書いたこの物語が、プロへの第一歩となるなんて誰が想像しただろう。だっっっれも想像もしなかったからね!

あの頃、「こんなんできました〜 (′▽`)」と、ヘラヘラしながら仲間内に発表していた『地獄堂』。  十数年の時を経て、こんな形で(再び)世に出るとは……これまた想像だにしていなかった。
もともと、私の仲間内に見せるために書いた作品なので、当然「子ども向き」に書いたつもりはないのだ。だから『旧・地獄堂』では、 仕方がないとはいえ、ずいぶんと「子ども向き」の体裁になっていたことが、実はけっこうストレスだった。  しかし『新・地獄堂』は満足できる体裁になっていて、やっと「ここまできたか」という気持ちである。


『地獄堂と三人悪と幽霊と』は、本当にむか〜しに書いたものなので、もうその時の思いとかは覚えていない。
三人悪がどう生まれたのか? これは、その頃描いていた大学ノート漫画のキャラからとった。使い回しである。
てつしのモデルは、私が、小、中、高校の同級生だった男子生徒である。  この子はなかなかの漢前で、生徒たちに人気があった。てつしにピッタリだと思った。
でも……名前をず〜〜〜っと間違えて覚えていてゴメンよ、あっちゃん! ず〜〜〜っと「あつし」だと思ってたよ!  「あつたか」だったなんて!! そしてそれを指摘してくれた、あっちゃんが「初恋の相手だった」Mさん! ごめんよぉー!(笑)

私の、「人の顔と名前を覚える能力」は、今も昔もレベル1である。


大人な方たちに人気の『地獄堕ち』。私もお気に入りだ。  救いのないサイコな話を、当時は「子ども向け」として発表できて嬉しいです(笑)
この作品に登場した「富田」と、次の『翳を食う』に出てくる苛めっ子三人組、「吉本」「早瀬」「又木」。この悪役たちにはモデルが いる。
以前、「この苛めっ子が生々しい」と評価されたことがあるが、それもそのはずで、この四人は私が実際に苛めを受けた人たちなのだ。
といっても子どもの頃学校で、とかではない。 私は学生時代は友人関係に恵まれていて、苛めなどには縁がなかった。嫌がらせの ようなものを受けたことは2回ほどあったと思うが、気にならなかった。そんなものを気に掛けているヒマなんかなかったのだ。 学生時代の私はメッチャ忙しかった。やりたいことが山ほどあったからだ。

私が「苛めっ子」に遭遇したのは、20歳も半ば。スイミングスクールでバイトをした時だった。
私は文系の人間だが水泳は大好きで、一度プールでバイトしてみたいなぁと思っていた。 そこで、もう現在ではあるかないかわからないので実名 を出すが、O市の「あびこスイミングスクール」で、子ども向けスイミング教室の、インストラクターの助手のバイトを始めた。

このバイトは……大変だったのだが、素晴らしい学習の場だった。

まず仰天したことは、子ども(5歳ぐらいから小3ぐらいまで)を教えるインストラクターなんだから、子どもが大好きな優しい お姉さんばかりなんだろうと思っていたのだが

とんでもない間違いだった!!Σ( ̄ロ ̄lll)!!

このインストラクターの中に、「吉本」「早瀬」「富田」「又木」たちがいたのだ(とっくに結婚して名前が変わっているだろう から実名である)。
この四人(あと1人いたが、こっちはまだマシだったかな)は、自分の気に入るバイトにはことさら優しくし、自分の気に入らない バイトには徹底的に冷たく、辛く当たる奴らだった。 私は、奴らの「気に入らないバイト」の中に入っていた。 同じく、奴らの「気に入らないバイト」に入っていたバイト仲間が、ポロポロとやめていったものである。私は……私は……


こ、これが「苛め」というやつかあ〜〜〜!! \(゜□゜)/


と、カルチャーショックを受けた。
そして、とても興味を惹かれたのだ。

こいつらは、どうして「人を苛める」のだろう? それが楽しいのか? なぜこんな暗いことが楽しいのだろう?
人を苛めている時の顔は、なんて醜いんだろう。こいつは、自分が今どんな顔をしているのかわかっているのだろうか?

脳みその新しい部分が動き始めた感じだった。
私はここで、このイタイ奴らの生態を存分に学ぶことができた。ごっちゃんです! と言いたい。


『地獄堂』でも『妖アパ』でも、「悪役」を作るのはなかなかに難しい。すごい化け物や悪人なら少々現実離れしていてもいいけど、 身近な悪役は現実的でないと説得力がない。

この「苛めっ子インストラクター四人組」は、私の作品で初めての「モデルのいる悪役」になった。

これ以降、特に私の生活にネットが入ってきてからは、作家生活が始まったために、大勢の人との接触がなくなったことに代わり、 ネット上での「イタイ奴ら」が、キャラのモデルになってくれた。
この「ネット上のイタイ奴ら」は、私に実害がない上に、生身の人間以上に「生のドロドロした部分」をさらけ出してくれるので、 キャラ作りのモデルとしては最高においしい素材だった。 掲示板やたまたま見たブログなんかで「イタイ書き込み」を見かけるたび、 「なんてキャラが立っているんだろう!」とゾクゾクする。その書き込みから、たちまちそいつのバックボーンが浮かんでくる。

助かる……! これからもよろしく!

イタイキャラクターは、これからも必要なのだ。『地獄堂』の新作にも役立つかも知れんし(笑)。

『死に部屋』は、私の友人の看護師から聞いた「本当にあった怖い話」である。 しかし、この十数年の間にその病院も なくなってしまった。手狭になったので引っ越ししたのだ。ただし、その引っ越しに乗じて、多くの「人以外」が 新しい病院へ付いていったらしい (((゜д゜;))) 

『生き霊を追って走る』の、小夜子の首の絵だが、昔テレビで放送されて騒ぎになった「本物の血を使って描かれている首の絵」が 元になっている(……と思う)。
あの生々しく、リアリスティックな日本画は、本当に不気味だった。今頃どうなっているんだろう?


『完全版地獄堂』1巻には忘れていたんだが、2巻には「おまけ」が付く。
次巻登場となる蒼龍さんのビジュアルと、竜也兄のビジュアルも、漫画に先立って見られるぞ!




      




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