大江戸妖怪かわら版
異界より落ち来る者あり




完成が予定より一ヶ月遅れてしまったのは、私のせい(^▽^;)
何をしていたかは言うまい……。



出版社からお話をいただいた時点では、まだ何を書くかは決めていなかった。
出版社は
「主人公は男の子で、妖怪がらみ、バトルなし」
という要望だった。
で、担当さんと話をしているなかで、「江戸もの」と「瓦版屋」というキーワードが出てきて、このような形とあいなったわけである。

比べるべくもないが、宮部みゆき大大先生のような「本当の江戸不思議物語」にしなかったのは……



考証が面倒くさいからである!!(ああっ、ミもフタもない!)



それでも、まるっきり作り物の江戸じゃ、江戸の意味はないので、本当の江戸の資料はいろいろ見た。
それにあたっては担当さんから、まぁさまざまな資料をいただき、東京の江戸博物館にも連れて行っていただき、両国で「ちゃんこ」や、浅草で「ぬた」など、 江戸情緒あふれるごちそうもいただいた。多謝多謝 m(_ _)m。

基本的に勉強が大ッキライなので、資料を見るのは苦痛だったが、「江戸語辞典」は面白かった。
もともと「なんちゃって江戸ことば」が大好きな私。(いいかね、あくまでも『なんちゃって』だから、そこんとこ突っ込んでこないように)
登場人物に江戸弁をしゃべらせるのは、大変楽しかった。 単語の意味がわからないとか、現在使っている意味とは違うものも混じっているから、ちょっとだけ 解説しておこう。


あやまった=閉口
 「コレサ、姐さん方、あやまった」というのは「おい、姐さんたち、困るよ」とか「かんべんしてくれ」とかいうような意味。

上げ煙管=傲慢

とっけもねぇ=とんでもねぇ

気のきいたカラス=早起き

「高い面」=傲慢

「でんつく」=野暮

「ヒゲが多い」=威張っている


などなど。
江戸言葉というのは、とにかく「シャレ」と「廓言葉」だらけなんだと、辞典を読んでわかった。
桜丸が、海で「湯文字」=「腰巻」一丁で遊ぶお小枝を見て

「アレサ、大店のお嬢さんが、貧乏人の豆煎りだぁ」

と言うが、これは「貧乏人の豆煎り」=「あられもない」というシャレなのである。
「閻魔の笑い顔」は、「ありえない」という意味のシャレ。
他にも、「お頼みあげ豆腐」「ありが鯛の浜焼き」「ありがた山の椎の木山椒」

江戸人というのは、ず〜〜〜っと、こんなことばかりを言っていたようである。平和だなぁ(笑)。



この作品で私が目指すのは、ますむらひろしの「アタゴオル物語」で、別世界に何気にいる人間一人、というものだった、当初は。
なんか知らんが、変な世界に人間が一人まじって、そこで当たり前のように暮らしている。人間がどういう人物で、なぜこの世界にいるのか不明(っていうか、 どうでもいい)……だったんだが、担当さんがこの人間「雀」に喰いついてきた(笑)。
「雀の過去を! 大江戸で暮らすようになった経緯を!」
と要望してきたので、それを描くことになったのだった。それが「上下巻」に繋がった。

「江戸」と「瓦版屋」が決まったあと、いつものようにキャラ設定して、それを担当さんに見せたところ

「いいですね。これでいきましょう……1巻目は」

と言われ、「えっ、シリーズものだったのか?!」とびっくりし、
1巻目ができたあと

「雀が大江戸になじむ過程を見たいので、2巻目をすぐに書いて下さい。上下巻として出しましょう」

と言われ、またびっくりした。


という理由もあって、発行がだいぶ遅れてしまったのである。



下巻の蘭秋は、東京の江戸博物館を見学している時に思いついたキャラだが、いささかシュミに走らせてもらった(笑)。でも、そのおかげで筆が進んだ(爆笑)。
ああ、太夫たちがしゃべる「なんちゃって廓言葉」も大好きだぁ〜〜〜(′▽`)。


担当さんは、次は「女を出せ〜、女を出せ〜」と言っているが、果たしてどうなるか?!(笑)




     
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