妖怪アパートの幽雅な日常



   原題は「妖怪アパートの部屋の鍵 貸します」。
   これは映画「アパートの部屋の鍵 貸します」をもじったもの。

   もともとは古〜〜〜い原稿で、アイデァが出たのはもう遥か昔のことである。

   最初は一人称で書き、三人称に変更し、また一人称に戻し、また三人称に変更。
   最後は主人公の設定をゴッソリ変えて一人称に落ち着いたという、大変な難産 だった。
   物語そのものは昔に出来上がっていたのでポプラ社に見せたのだが、主人公が高校生 ということでポプラ社では出せないと言われた。
   その時は「ああ、そうなのか」ぐらいにしか考えていなかったが(なにせ私は 出版業界のことなんか全く知らないド素人だったので(今でもだが) 、じゃあ自分で他の出版社へ持ち込もう、なんて考えもしなかったのだ)、これがまさか講談社で 出していただくことになろうとは、その時は夢にも思わなかった。

   活字倶楽部のご好意により講談社を紹介していただいたのだが、活字倶楽部の方々にも 講談社の方々にも「アッという間に読んだ。面白かった」と評していただいた時は嬉しかったなあ。
   なんだかこの作品との長〜〜〜〜〜い付き合いが、やっと報われてしみじみしてし てしまったよ。


   主人公の稲葉夕士は、最初はもっとおとなしく「いい子」で個性のない子だった。
   作品を読んだ友人から「印象に残らない」と言われたし、もうちょっと性格を ハッキリさせてみた。ついでに親友をつくってみた。
   あとの登場人物、詩人の一色黎明や画家の深瀬明や妖怪たちは、初期設定と変わって いない。「龍さん」―― については、名言しない方がいいだろう(笑)。

   唯一、サブキャラで変わったといえば「クリたん」である。
   霊獣茜さんとクリ―― の、クリは、最初「直樹」という中学生だった。5、6才 の時に親に捨てられた霊感少年の役だったのだが、これがなぜ没になったかというと、「地獄堂〜」の 椎名とかぶるのだ(笑)。
   しかも、まだ初期設定だった夕士(その頃は勇仁という名前だった)の邪魔になると いうか、動きがギクシャクするというか……とにかく、こいつらのせいで止まっていた物語が突然動き 出したのは「クリ」が登場してからだ。

   クリは、もともと「妖怪アパート〜」の「裏漫画」(地獄堂同人誌「ネタ帖」収録)に 出てきたゲストキャラで(ゲストだから、まるっきり「とあるキャラ」にそっくりなのである)、単なる 裏キャラ(物語に正式には出てこないキャラ)だったのだ。
   ところが、ふと「そうだ。クリを正式キャラとして使おう!」と思い立ち、 そのとたん物語が動き出したのだ。ありがとう、クリたん(笑)!


   こうして10年ぐらいかかって、やっとこのたびこの「妖怪アパート〜」が、正式に 発表されるに至った。現在、続編が進行中である。


   活字倶楽部の方々に深く感謝いたします。


   講談社の方々、これからもどうぞよろしくお願いいたします。



   11月には「妖怪アパート〜」のキャラデザをアップする予定。お楽しみに。



   こうやって、これからもいろんな出版社と仕事をしていきたいと思うようになった 私である(笑)。(もっと早く思えってか)




       キャラデザへGO!
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